Site Reliability Engineers
Site Reliability Engineering (SRE) は、ソフトウェアシステムの信頼性とパフォーマンスの向上に焦点を当てたソフトウェアエンジニアリングの実践手法です。 SRE の主要な目標の 1 つは、可用性、パフォーマンス、レイテンシー、効率性、キャパシティ、インシデント対応などの分野でソフトウェアシステムの信頼性を向上させることです。 SRE チームが目標の達成を検証するために測定する指標には、Service Level Agreement (SLA)、Service Level Objective (SLO)、Service Level Indicator (SLI)、エラーバジェットなどがあります。
以下は、オブザーバビリティ戦略を導くための SRE の重点分野とベストプラクティスです。
インシデント対応とクライシス管理
インシデント対応には、インシデント解決までの平均時間 (MTTR) を最小限に抑え、Service Level Agreement (SLA) を満たすことを目的として、計画外のイベントや中断を監視、検出、対応することが含まれます。
インシデント対応とクライシス管理に関するベストプラクティス:
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迅速な検知、対応、封じ込めは、最小限の時間でインシデントを緩和し、さらなる影響を回避するために重要です。
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オンコールスケジュールを効率化し、効果的なインシデント緩和のための運用手順書を組み込んだ、堅牢なオンコールシステムを構築します。
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効果的なインシデント後の分析プロセスを構築します。根本原因分析には通常、以下の項目が含まれます。
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影響分析 - このインシデントによって影響を受けたシステム、内部プロセス、エンドユーザー、および発生した可能性のある財務的影響を特定します。
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根本原因と解決策 - イベントの根本原因分析を実施し、将来同様のシナリオが再発することを防ぐためのガードレールを実装する機会を特定します。
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モニタリングとアラーム - 設定されたメトリクスとアラームのしきい値が正しいシグナルを報告しているか、潜在的なインシデントを防止する機会があるかを特定します。
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アクションアイテムと学習 - アクションアイテムに担当者を割り当て、フォローアップを行います。インシデントからの学びを製品ライフサイクルに組み込み、将来の障害を防ぐためのフィードバックメカニズムを確立することが重要です。
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サービスレベル目標と主要メトリクス
SLI (Service Level Indicator) は、実際の測定値やメトリクスです。例として、ミリ秒単位のレスポンス時間、システムの稼働率、100 万リクエストあたりのエラー率、1 秒あたりのリクエスト数によるスループット、リソース使用率(CPU、メモリなど)があります。
SLO (Service Level Objective) は、SLI を使用して設定される目標値です。これは「良好なサービス」とは何かを定義します。例として、95% のリクエストが 200 ミリ秒以内に完了すること、月間稼働率 99.9%、30 日間のエラー率が 0.1% 未満などがあります。SLI と SLO の関係は以下のように 定義できます。
SLI(メトリクス)+ 目標値 + 時間枠 = SLO 例:レスポンス時間(SLI)+ 200 ミリ秒未満 + 30 日間の測定 = SLO
SLI と SLO のベストプラクティスは以下の通りです
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SLO に SMART フレームワークを確立する
- Specific (具体的): 明確なメトリクスとしきい値 (「応答時間が 200ms 未満」)。
- Measurable (測定可能): モニタリングツールで追跡可能。
- Achievable (達成可能): システム能力に応じた現実的な目標。
- Relevant (関連性): ユーザーエクスペリエンスに関連している。
- Time-bound (期限付き): 定義された期間で測定 (例: 30 日間)。
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ユーザーエクスペリエンスに直接影響する SLI を選択する。
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ビジネスニーズに基づいた現実的な SLO 目標を設定する。
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定期的なモニタリングと調整を行う。
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明確な文書化とコミュニケーションを行う。
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必要に応じて、サービスレベルごとに異なる SLO を設定する。
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以下のような主要メトリクスを特定する
- レイテンシー: システムがリクエストに応答するまでの時間を測定し、成功時とエラー時の両方のレイテンシーを追跡。
- トラフィック: システムを通過するリクエストやデータの量を監視し、使用パターンとスケール要件を理解 。
- エラー: システム内で発生するエラーの頻度とタイプを追跡。
- 飽和度: CPU やメモリなどの重要なリソースの使用率を監視し、潜在的なボトルネックを特定。
以下は SLO ドキュメントの例です
サービス: ユーザー認証 API SLO: 認証リクエストの 99.9% が 500ms 以内に完了 測定期間: 30 日間の移動期間 SLI: サーバーで測定された応答時間 除外事項: 計画されたメンテナンス期間
キャパシティプランニングとスケーリング
キャパシティプランニングとイベントレディネスは、システムの信頼性を確保するための重要な要素です。
ベストプラクティスの例
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予想されるユーザートラフィックパターン、ユーザーの地理的分布、対象となる AWS リージョン、イベントのピーク時間などの主要コンポーネントを含む、包括的なイベントカレンダーを実装します。
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システムのスケーリング検証、パフォーマンスベンチマーク、容量しきい値のテストを含むイベントレディネステストを実施します。
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バックアップと復元手順、リージョン切り替え の実行手順、インシデント対応プロトコル、緩和手順などのフェイルオーバーメカニズムを検証します。
インフラストラクチャ管理のための自動化とスクリプティング
インフラストラクチャの効率的な運用には自動化が重要です。自動化により、より信頼性が高く、スケーラブルで効率的なインフラストラクチャを実現し、チームは日常的なメンテナンスではなく戦略的な取り組みに集中できるようになります。自動化の利点には以下のようなものがあります。
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人的介入をほとんど、またはまったく必要としないシステムの信頼性向上。
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トラフィックと需要に応じてアプリケーションが自動的にスケールできる、改善されたスケーラビリティ。
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迅速かつ自動化されたインシデント解決、エラー率の低減、MTBF(平均故障間隔)の改善。
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運用コストの削減とリソース使用率の向上。